おはよう、ふみちゃん

 君がこの手紙を読めるようになるのはあと数年かかるだろうけど、記憶力にまったく自信がないパパは今のうちに書かないとどうも忘れそうなので、机の前に腰をすえて書いておきます。

 一昨日はぽかぽかとした土曜日でした。おじいちゃんとおばあちゃんとパパとママは、君を連れてママの実家の近くにある神社へ初参りに行きました。あそこで君はすっかり人気者になりまして、知らない二才の女の子に声をかけられてナンパされました。パパは地球上に生まれてきてから30年間、一度も女の子にナンパされたことがないのに、お前は一ヶ月ちょいでなんとこの偉業を達成しました。たいしたものです。金城武の地位は危ないと思います。それはともかく、君が健やかに育つのをみんな見守っています。楽しみにしていますよ。

 ママは君を産むとき、とても大変でした。母子手帳に分娩所要時間は30時間って書いてあるけど、実はうちで陣痛が始まってから君が分娩室でぽろっと出てきたまで、35時間かかりました。君はあまりにもでかくて、ママは分娩するときに痛くて痛くて、声すら出せませんでした。正確に言うと、声を出す力の全部を、君をお腹から出す力に注ぎました。立ちあいしたパパはカメラで君がこの世界に来た瞬間を撮りたかったけど、ママが全然声を上げなかったので撮りそこないました。女の人は出産するとき必ず叫ぶと思い込んでいました。ママは本当に偉いですよね。パパはただ側で立ってて、何の役にも立てなかったんですけど、元気な声でがんがん泣いている真っ赤な君とママの側にいて本当に良かったと思います。日本語の赤ちゃんって、本当に赤いですよ。

 君が生まれてから四日目、台湾の家族と親戚は君に会うために日本に来ました。全員で12人でした。すごいでしょう。みんな一緒にツアーに参加して、自由行動の一日を利用して来てくれました。君が予定日より数日遅く生まれたのでママの病室で会う羽目になったんだけど、君の可愛い顔を見ることが出来てみんな喜んでいました。その産院にもし「一日に赤ちゃんに会いに来た人数ランキング」があれば、君の名前は一位に入っちゃうかもしれません。

 最後はね、ちょっと自慢したいことがあります。パパが一ヶ月あまりをかけて書き上げた40ページの期末レポートは、「Aプラス◎」の評価を先生からもらいました。これは最高の評価ではないかと少し鼻が高くなったけど、ママに「Aプラス花丸をもらった人がいるかもしれないよ」とつっこまれました。レポートに花丸をつける大学の先生はいるのかな。ま、レポートの話しはどうでもいいけど、君に言いたいのは、将来何もかも花丸をもらって来なくてもいいですよ。きちんと自分の頭で考えて、誤りを恐れず、しっかりやってくれればそれでいいです。これはパパとママの願いです。

パパより