ちびのことば

 うちのちびが通っている保育園に台湾人のママがいて、朝たまに顔を合わせる。昨日久しぶりに会った彼女は大事なことを教えてくれた。

保育園の先生やお友達とのコミュニケーションに支障が出ると思い、おうちでこどもと中国語で話さないほうがいいじゃないかと思ったら大間違いだという。こどもはちゃんと聞き分けられるし、小さいうちに聞かせるだけで将来大きくなったら上達が早いらしい。もっと中国語で話してあげられたら良かったと、三歳の息子を持つ彼女はもったいなそうに言った。

確かに私もそう思った。周りの人とのコミュニケーションに支障が出るじゃないか、小さな頭が混乱するじゃないかと。家ではたまに台湾の絵本や三字経などを聞かせるけど、話す時はほとんど日本語で。よし!これからガンガン中国語で話すぜと決意した。

帰りに早速ちびに色々話しかけてみたけれど、ちびはわからないってはっきり言った。さすがにお喋り上手なうちのちびだけあって、「わからない」という決め台詞(?)をこんなに正確に使えるなんて素晴らしい!いささかショックを受けたけど。

そろそろ二歳になるちびには本当に日本語と中国語の響きの違いが分かるんだと納得した。


若葉、四枚

先月、日本の免許を手に入れた。台湾の免許を三千円を払って日本語に訳してもえば、あとは必要な書類などを免許試験所に持っていくだけ。技能試験は要らない。筆記試験も要らない。身体検査といっても、視力だけだった。

視力検査は、思わぬ穴に落ちた。てっきり「C」の開いている方向だけを正確に言えばいいと思ったんだけど、それが終わったあと、いきなり試験官に「上から順番に色を言ってください」と言われた。えっっ?と思った途端、目の前にパパっと上下二つの明かりがついた。「黄」と「青」だった。もちろん色はわかるけど、まったく予想していなかった状況で、しかも突然すぎたので、急に日本語が出なくなった。


「えーっと…」

あれ?黄色の日本語はなんだっけ?キ…

「キイロ!」

ふぅ、危なかった。

下はミドリだな。いや、ちょっと待った。信号のミドリは確か「アオ」といわねば!

「アオ!」


という具合に、まるで幼稚園児の思考回路でなんとかパスしました。ここで落ちたら一生の恥になりかねませんでした。

そして昨日、うちの奥さんも二ヶ月間の猛烈教習で免許をゲットした。大学を限りなくギリギリの成績で卒業し、就職氷河期にぶつかって大変苦労したかみさんは、試験場の電光掲示板に自分の番号を見た時あまりにも嬉しくて涙が出たそうだ。

四枚の若葉マークがいま、うちの冷蔵庫のドアにきれいに張り付いている。本物の車に貼る日はいつ来るかな。