ビニールドア

 
一週間前に浴室のドアが見事に壊れた。どのように見事かというと、二枚の折りたたみ式の扉がガターンと丸ごと外れてしまったのだ。

崩壊はシャワーを浴びている夜から始まった。カチンと、何か落ちた音がかすかに聞こえた。でも、そのあとは何もなかったので、全然気にしなかった。翌日の朝、浴室に入ろうとする時、ドアがスムーズに開かないことに初めて気がついた。

あれ?今までちょっと取ってを引けばすぐにぱらぱらとすんなり開いたドアは、力を入れて引っ張らないと動かない。しかもギギギギと爪で黒板を掻いているような気持ち悪い音を立てる。うちの奥さんに聞いてみたら、確かにドアの異変を感じたという。不審に思いつつチェックしたら、上のレールを動くねじにかかっている扉の連結部が折れていることが分かった。なるほど、扉が上の動くねじにのっかっていたからスムーズに開いていたんだ。

じゃあ、扉をちょっと持ち上げて開けば?と思ってやってみた。ぱらぱらと開いた。自分のとんちに感心しながら顔を洗い、うちの奥さんにこのわざを自慢しようと思ったが、浴室を出る時ドアを持ち上げたら、ガターンと、二枚の扉が丸ごとに落ちてしまった。もう一枚の扉もねじから外れた。

不動産屋さんを通して、大家さんに直してもらうことになったんだけど、全治二週間の重傷だった。つまり、うちはもう一週間ドアなしのお風呂に入っている。今週の土曜日までにドアなしのお風呂に入り続ける。さすがにドアがないと寒いから、一応緊急措置は取っている。



ビニールドア


ビニールドア。

寒い空気が入らないし、見えるような見えないようなところも風情があるし、いいすね。

濃度


 ド大量のテープ起こしを頼まれて、キーボードをパタパタと叩く毎日を送っている。一時間あたりの料金を聞いた時にまあまあ良心的なレートかなと計算していたが、実際に起してみたら大誤算だった。

台湾の女子大生のお喋りは濃度がとてつもなく高い。話の内容の濃度とかそういうのじゃなくて、単純に物理的に「文字数が多い」という意味で。スピードが速いのはまだいいけど、相手の話がまだ終っていないのに次に出てきそうなフレーズを予想して相手が言う前に先に喋りたがるクセが苦しい(それも相槌の一種といえるかもしれない)。フレーズを予想された相手もまた相手の話を無視して喋り続け、二人が同時にべらべらべらべらと喋りあっていく。最初に10分間のテープを起こし終わったら10キロを走った気分だった。ヘトヘトだった。まあ、どの国の女子大生も同じかな。興味のある方は是非録音して起してみてください。とても大変です。

でも、確かに台湾人の喋り方だなと懐かしかった。昔、というか、今も母語で喋ったら自然にそういう喋り方するかもしれないな。