私は銀行員になりたかった(7)
最初に与えられた業務は単純なものだった。
お客様から提供されたインボイスのコピーを一枚ずつ確認し、パソコンでデータを入力する。入力先は買い取った売掛債権を管理するためにうちの銀行が自ら開発したシステムだった。そのシステムをこなすためにはある程度の教育訓練が必要だったが、慣れると非常に使いやすいものだった。インボイスの確認も、債権の真偽を確かめるための基本的なプロセスだった。
このような絶対必要な単純作業がこなせるようになってから、初めてお客様の案件を管理する立場になる。もちろん最初に与えられたのは比較的に簡単で、今までに問題を起こしたことが無い優等生的なお客様のみだった。そして支店から上がってきた契約書の内容をチェックしたり、お客様の取引先にお支払いの内容を確認したりするなど、仕事の内容も管理するお客様の数も次第に多くなってきて、やりがいも感じるようになった。
国内だけではなく、海外の会社に商品を売るお客様も当然いるわけで、その場合はもっと複雑だった。業務終了後の「對帳」(締上げ?要するに一日動いたお金の処理が合っているかどうかの確認。一円たりとも合っていなくてはならない)はいつもドキドキしながらやっていた。
次回はいくつかのエピソードを書きたいと思う。良いお年を過ごしてください。
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