「は」と「が」の機能

私の日本語・論の課題を公開します。

<文章の例>
次の短い二人の会話は、「は」と「が」それぞれの機能が充分に発揮し、最も典型的に用いられていると思う。

村上春樹 「海辺のカフカ(下)」 P.347 五行目から

「図書館のことは?覚えている?」と僕は思い切って質問する。
「図書館?」彼女は首を振る。「いいえ、覚えてないわ。図書館は?遠くにあるの。ここからずいぶん離れたところに。でもここにはない」
「図書館が?あるの?」 
「ええ、でもその図書館には本は?置いてないの」
「図書館に本が?置いてないとなると、何が?置いてあるんだろう?」

<分析>
?は
「僕」は彼女も図書館のことを知っているはずだと思っているから、「は」を使う。つまり、「図書館」を「共有知識」(旧情報)として捉える。後ろの「覚えている」は情報の中心である。
?は
この「は」はこれから図書館という「主題」を示す→遠くにある、ずいぶん離れたところに、ここにはない。⇒情報の中心。
?が
情報の中心は「図書館」である。その遠くにあり、ここからずいぶん離れたところにある図書館である。もし「は」と置き換えると文がおかしくなり、「彼女の話が伝わっていない」、「話しを聞いていない」感じがする。
?は
「本」は「共有知識」として捉える。情報の中心は「置いていない」である。彼女の伝えたいのは「置いてない」だ。
?が
「本は置いてない」ということが分かったら、「置いてない」は既に「情報の中心」ではない。「情報の中心」は「本」に変わる。僕の伝えたいのは「本」だ。
?が
「何」は疑問詞で、情報の中心である。知りたいのは「何」だ。


<感想>
この会話は、「は」を「が」に、或いは「が」を「は」と書き換えるとおかしくなる。書く時だけでなく、話す時も「は」と「が」の区別を注意しよう。

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