かたち

インタビューを受けた。何のインタビューに関してはちょっと言えないけど、ある質問にうまく答えられなかった。

日本に来る前に二年間銀行に勤めていたと言ったら、日本人と台湾人の働き方について何か違いがありますかと聞かれた。考えたことがなかったので、その場ではあやふやなことしか出てこなかった。

その後よく考えてみたら、一つ大きな違いが頭に浮かんできた。

日本人はとても形にこだわる。台湾人はあまり形にこだわらない。

形にこだわると言えば、言うまでもなくサービス業が筆頭にあがる。旅館。デパート。鮨屋さん。日本のあらゆるサービス業に日本の形が存在するといっても決して過言ではない。形から心が生まれると、日本の人々は深く信じている。形がきちんとできていなければ、心を見せるどころか、使ってさえもらえない。

日本人の形へのこだわりを理解すれば、日本の文化や社会現象への理解も大きく前進するだろう。

例えば、マニュアル。日本人はとにかくマニュアルを作る。とにかくマニュアルに物を言わせる。マニュアルであらゆるかたちを形にしようとする。昔ファミレスの厨房でバイトしていた時に、まず最初に覚えなければならないのはマニュアルだった。衛生管理についてのマニュアルビデオ。料理を作る時の手順書。洗面台の手洗いと消毒の説明。…バイトの初日にマニュアルの多さに唖然とした。今働いている職場も数え切れないほどのマニュアルがある。まさにマニュアル天国だ。

もう一つは、就職活動。「新卒一括採用」というシステムは、台湾出身の私から見れば本当に不可解だ。台湾の会社はみんな自分の好きな時に新入社員を募集する。新入社員も新卒・既卒問わず、むしろ社会人経験者のほうが有利だ。どうして日本の会社は新卒しか使いたがらないのか。答えはシンプルだ。使いやすいから。上の言うことをちゃんと聞くから。要するに、会社は新卒の新入社員を自分の好きな形に、あるいは会社が必要とする形にすることができる。しかもその形は、雑質が少なければ少ないほどいいとされる。一番雑質の少ない新入社員は、新卒だ。


台湾人はあまり形にこだわらない点について、台湾の夜市を思い出して頂ければわかると思う。形はあんまり無いけど、その無さ自体にも心があるかもしれないと、今ちょっと思ったりした。


コメント

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こんばんは

武道や茶道、華道、多くの伝統芸能は型を学ぶことから始めますね。
稽古量の蓄積がある線を越えた時、量が質に変わると教わりました。
形を学ぶことは心を学ぶことなのだと思います。

のさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
「形を学ぶことは心を学ぶこと」、まったくその通りです。スポーツ界といえば、イチローですね。彼のすべての凄さは、あの絶対変わらない侍のポーズに凝縮されていると思います。