科学しないで


ずっと気になっていたことがある。

何々を科学する。

例えば ↓
紅葉を科学する



初めてこの表現を目にしたのはつい最近のこと。ある会社からの翻訳原稿だった。△△を科学する(守秘義務のため一部消音処理)。ん?科学は名詞じゃなかったっけ?「する」を付けていいの?っていうか、どういう意味なんだよ。

ネットで調べてみたらある質問サイトで分かった。要するに、科学的に分析する、科学的な視点から見る、みたいな感じらしい。なるほど。なんとなく納得した。それを「科学する」って表現出来る日本語のゆるさに感心しながら、呆れた気持ちもあった。


プロの調理を科学する
ニンニクを科学する
おいしさをを科学する
パニック脳を科学する
フィクションを科学する
強運を科学する
日本古代史を科学する
坐禅を科学する
理想的な昼寝を科学する
根性を科学する
体型を科学する
ワインを科学する
採用と離職を科学する
らーめんを科学する
......


検索サイトで「を科学する」をかけてみれば分かるが、もはや科学することが出来ないものは存在しないと思われる。こんなにたくさんの用例が出てくるということは、この奇妙な表現は相当前から使われているようだ。一体いつからどこで使われ始めたんだろう。

中国語の「科学」は動詞に成りえないので、翻訳する時は「行間」と「内容」をよく読んで、科学を名詞か副詞的な使い方に戻して動詞を足すしかない。

例えば、

らーめんを科学する。
  ↓
らーめんを科学的に●●する


その「●●」は大体「分析」や「説明」に当てはまると思うけど、キャッチコピーとして「分析」や「説明」を使うとなんか味気が無い。日本語は科学を「する化」(動詞化)することによって生まれたあやふやさでその味気無さをうまく消したと思う。でも中国語はそうはいかない。日本語の読者に察して頂く(言わぬが花、というべきか)文化によって消された本来の動詞を復元しながら、なおかつ行間の雰囲気を壊さないのは並大抵のことではない。頭が相当疲れる。


何もかも「科学する」のをやめてほしいな。



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